バリのヴィラの保証金を、引渡し時の確認書面なしで取り戻すには:事例の解説

バリのヴィラの保証金を、引渡し時の確認書面なしで取り戻すには:事例の解説

バリでの長期賃貸が終わって退去するとき、オーナーから保証金はすべて修繕費に回すと告げられた。納得できないものの、入居時の状態を示す証拠はない。そんな実際の事例を取り上げます。

状況

外国人の借主が、バリのヴィラを1年半借りていました。保証金は約2,800万ルピアでした。退去後、オーナー側は保証金を全額手元に留めました。

最初は、床のシミや壁の状態を理由に挙げていました。その後、天井の崩落、プール、庭、鍵の件が加わりました。領収書も見積書も、退去時に署名した書面もありませんでした。あったのは、日付のない写真と動画だけです。

数週間、依頼者は自分で話し合おうとしましたが、進展はありませんでした。そこで当社に相談されました。

法律上の現実:何もしなければ、法律は借主の味方ではない

KUHPerdata(インドネシア民法)は、リスクを次のように割り振っています。

  • 入居時に物件の状態一覧(pertelaan)が作成されていた場合、借主は一覧に記載された状態で物件を返還します。時間の経過による劣化や、避けられなかった損傷は考慮されません(第1562条)。

  • 一覧がなかった場合、借主は物件を良好な状態で受け取ったものとみなされ、日常的な維持管理の範囲で同じ状態で返還しなければなりません。これに反する証明ができるのは借主本人だけです(第1563条)。

  • 借主は、賃貸期間中に生じた損傷について責任を負います。ただし、自分に責任がないことを証明できれば別です(第1564条)。同居していた人が生じさせた損傷についても責任を負います(第1566条)。

結論として、写真と日付の入った引渡し時の確認書面がなければ、借主は弱い立場から争うことになります。保証金そのものは法律で個別に定められておらず、その行方は契約と証拠によって決まります。

それでも依頼者の立場のほうが強かった理由

オーナーに有利な推定があっても、損傷が実際にあったこと、賃貸期間中に生じたこと、請求額に見合うことを示す責任がオーナーから消えるわけではありません。当社の法務専門家は、この点を軸に立場を組み立てました。

  • オーナー側の写真と動画には日付もメタデータもなく、いつ撮影されたのか確認できない。

  • 天井、プール、庭に関する指摘は、退去後、さらにオーナーがヴィラで工事を始めた後になって出てきた。

  • 双方が署名した退去時の確認書面も、項目ごとの見積書も、領収書もない。

  • 指摘の一部は、自然な劣化と湿気によるもの。保証金がカバーするのは小さな損傷や家具であり、建物全体の大がかりな状態ではない。

手続きの流れ

  • 書類の分析。 依頼者は、契約書、やり取り、自分で撮った写真、時系列の整理を提出しました。当社の法務専門家が、立場の強い点と弱い点を書面で評価しました。

  • 1回目のsomasi(somasi=裁判前の正式な請求書面)。 当社の法務専門家がオーナー宛ての書面を作成し、依頼者は事実が正確に反映されるよう、文面を二度修正・加筆しました。

  • オーナーの回答は一般的な内容で、証拠もありませんでした。当社の法務専門家は、撮影日の裏付けと、指摘を項目ごとに分けることを書面で求めました。

  • 2回目のsomasiは、より厳しい内容で、指摘の一つひとつを検討したものでした。これを受けて、オーナー側は1,500万ルピアの返金を提案してきました。

  • 交渉。 依頼者は2,000万ルピアという対案を出し、当社の法務専門家の助けを得て自らの立場を固めました。オーナー側は同意しました。

  • 和解合意。 当社の法務専門家が作成し、双方が署名しました。

当初、オーナーは何も返すつもりがありませんでした。最終的には、保証金の約70%を返還すると書面で約束しました。支払いの一部は遅れて届いており、当社の法務専門家は、スケジュールどおりに履行されるか引き続き確認しています。

なぜ裁判ではないのか

当社は依頼者にはっきり伝えました。争いの額が2,800万ルピアの場合、本格的な訴訟は経済的に疑問です。費用と時間が保証金と同程度になりかねず、オーナーの一人はインドネシア国外にいます。警察への届出も適しません。これは保証金をめぐる民事上の争いであり、犯罪ではないからです。保証金の代わりに物を勝手に留め置いた場合にどうなるかについては、当社の保証金をめぐる刑事事件の事例をご覧ください。

借主がすべきこと:入居時と退去時

  • 入居時に、日付入りの写真と動画を添えて確認書面を作成し、オーナーまたは管理人に署名してもらいましょう。これが第1562条・第1563条に基づく最大の備えです。

  • 契約書に保証金の返還条件を定めましょう。期限、控除の手順、控除の根拠を領収書で示す義務などです。

  • 退去時には、双方が署名する確認書面を作成し、写真と鍵のリストを添えましょう。オーナーが署名を拒む場合は、日付のわかる形で室内を回る動画を撮影し、その日のうちにメッセージのやり取りで送っておきます。

  • 退去後に出てきた指摘を受け入れないでください。損傷が自分の居住中に生じたという証拠が示されない限りです。

  • 話し合いで解決できない場合は、法務の専門家からの書面に進みましょう。 この事例では、オーナーがはじめて金額を提示したのは2回目のsomasiの後でした。それ以前は、依頼者が数週間、自分でオーナーとやり取りしていました。

  • 和解合意の際は、お金を受け取るまで、請求権の全面放棄に署名しないでください。

ヴィラの賃貸をめぐる似た争いとして、オーナーが修繕費として1億ルピアを請求した事例もあります。

オーナーが保証金を返さず、自力では話がまとまらない場合は、賃貸契約書、やり取り、写真をお送りください。当社の法務専門家が、あなたの立場の強い点と弱い点を評価し、somasiに進むべきかどうかをお伝えします。詳細については、お問い合わせください。

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