早わかりガイド:インドネシアでの会社の閉鎖、または休眠(非アクティブ)税務ステータスへの移行

インドネシアで設立した会社は、事業をやめても自動的には閉鎖されません。事業を続けていなくても、会社には報告、税金、ライセンスに関する義務が残ります。報告の未提出は重大な違反であり、罰金や政府システムの利用制限などの制裁を受けるおそれがあります。
バリ島の PT PMA やPT PMDNが稼働しなくなった場合、オーナーには3つの選択肢があります。会社を清算する、休眠の税務ステータスを取得する、何もしない、の3つです。3つ目が最もリスクの高い選択肢です。
ご自身に合うシナリオの選び方
シナリオ | 向いているケース | 注意点 |
清算 | 会社がもう不要で、事業を再開する予定がない | 会社法上、税務上、登録上の手続きを一通り行う必要がある |
休眠の税務ステータス(Nonaktif) | 会社は稼働していないが、維持する予定がある(税務署に却下される場合がある)、またはすでに清算を進めている | 税務番号 NPWP は閉鎖されず、LKPM、PT の年次報告、ライセンスに関する要件は引き続き有効 |
会社を放置する | オーナーが何もしない | 報告や義務は消えず、罰金や制裁を受けるおそれがある |
PT PMA の売却と閉鎖のどちらにするか迷っている場合は、記事「PT PMA を閉鎖するか売却するか」で両方を比較できます。
休眠ステータスとは
Wajib Pajak Nonaktif は会社の休眠の税務ステータスです。会社は事業活動を行わず収入もありませんが、税務番号 NPWP はまだ閉鎖されていません。このステータスへの移行と、ステータスからの復帰の手続きは、PMK 81/2024 と PER-7/PJ/2025 で定められています。
事業を止めただけでは、会社は休眠ステータスになりません。税務署にオンラインシステム Coretax から申請し、会社がステータスを変更する理由を説明する必要があります。規則上、ステータスが付与されるのは、納税者の要件を満たさなくなり、NPWP がすでに閉鎖手続き中か、まだ閉鎖されていない会社です。単に事業を一時停止しただけの会社は、解散するまで形式上は納税者のままであるため、申請が却下されることがあります。また、5年連続で申告、納付、源泉徴収がなく、未納の債務、調査、係争、税務上の優遇措置もない場合には、税務署が自らステータスを付与することもあります。
インドネシア税務当局(DJP — Direktorat Jenderal Pajak)の規則では、Nonaktif の会社は、ステータスを取得した課税年度から申告書を提出しません。会社が付加価値税の課税事業者(PKP — Pengusaha Kena Pajak)である場合は、まずその資格を取り消し、そのうえで Nonaktif に移行する必要があります。申請による PKP の取り消しは、税務調査の結果を踏まえてのみ行われます。税務署は6か月以内に決定を出します。
Nonaktif は税金にしか関係しません
会社のそれ以外の義務は引き続き有効です。OSS(政府の事業ライセンス管理システム)上の義務、法務省に対する義務、契約上の義務がこれにあたります。
投資報告 LKPM は、これまでどおり OSS で提出します。この義務は事業登録番号 NIB と投資法に基づくものです。PT PMA は四半期ごとに LKPM を提出し、PT PMDN は規模によって異なり、小規模企業は半年に1回、零細企業は提出しません。
PT の年次報告も引き続き必要です。株主が承認し、その決議を法務省に SABH システム経由で提出します。報告に関する現在の要件や、未提出の場合に何が起こるかは、記事「インドネシアの PT 年次報告」で詳しく解説しています。
登記上の住所に関する契約も引き続き有効です。バリ島の監督当局はバーチャルオフィスを利用する会社に特に注意を払っていますが、PT PMA にバーチャルオフィスを一律に禁止する規則はありません。
Nonaktif に移行しても、ライセンスや NIB は凍結されず、OSS での手続きは従来どおり守る必要があります。
会社が今後事業を行う予定がなく、すべてのライセンスが取り消されている場合、法律上は会社を清算しなければなりません。
実務上、休眠中の会社の外国人従業員には、KITAS は発給も延長もされません。外国人の創業者や取締役がバリ島に住み続けたい場合は、会社を Nonaktif に移行する前に、その人の KITAS の問題を解決しておく必要があります。
休眠ステータスは、会社も NPWP も閉鎖しません。事業を最終的に終了させるには清算が必要です。ステータスは、会社自身の申請によって解除されるほか、会社が再び事業を行っている、申告書を提出した、税金を納付した、あるいは税務署が事業再開とみなすその他の行為をしたと税務署が判断した場合にも、税務署の決定で解除されます。たとえば、会社が売上を得て、そのデータが税務署に届いた場合です。Nonaktif に移行する前の期間の申告や納付は、ステータスに影響しません。
税金と報告:閉鎖前に確認すること
会社を閉鎖する前に、税務履歴を確認する必要があります。申告書が提出されているか、税金が納付されているか、未完了の調査や係争がないかを見ます。過去5年分の申告と納付を突き合わせてください。この期間については、税務署が追加で課税する権限を持っています。直近の期限は、2026〜2027年の PT 税務カレンダーでご確認ください。問題があれば、清算を始める前に是正してください。そのほうが手続きが早く進み、費用も抑えられます。会社が付加価値税の課税事業者(PKP)である場合、その資格の取り消し申請は、NPWP の閉鎖申請より先に、または同時に行います。PKP は税務調査の結果を踏まえて取り消され、決定には最長6か月かかるため、早めに着手するのが望ましいです。NPWP を閉鎖しても、過去の期間について税務署が請求できなくなるわけではありません。
創業者と取締役の KITAS をどうするか
外国人のオーナーや取締役がインドネシアに住んでいて、滞在を続けたい場合は、KITAS を切り替える必要があります。スポンサーまたは滞在目的を変更します。この手続きは、出国せずに行えます。
KITAS を閉鎖するとは、EPO(Exit Permit Only)、つまり出国許可を取得することで、取得後は KITAS が失効します。インドネシア国内にいる外国人には、手数料の支払い後、遅くとも3営業日以内に EPO が発行されます。取得後は、7暦日以内に出国する必要があります。すでに出国している場合は、別の手続きで KITAS を閉鎖します。そのためにインドネシアへ戻る必要はありません。
スポンサー企業が申請を行わない場合、場合によっては、投資家本人が入国管理局に EPO を申請できます。そのためには、会社が休眠状態であること、または本人がもう取締役でも株主でもないことを証明する書類が必要です。同じ根拠で、スポンサーの変更も可能です。
KITAS の閉鎖または切り替えの手続きは、滞在許可の種類、ご本人の状況、会社の書類によって異なります。創業者の入国管理上のステータスについては、NIB を取り消す前に、法務の専門家とあらかじめ整理しておいてください。
PT の清算の流れ
清算の一般的なルールは、PT に関するインドネシアの法律 No. 40/2007(UU 40/2007)で定められています。手続きは5つの段階で進みます。
ステージ1:清算の決議
株主総会(RUPS — Rapat Umum Pemegang Saham)で、株主が決議を行い、清算人を選任します。決議は公証人が作成します。清算人が選任されなかった場合は、法律上、取締役会の全員が清算人になります。
清算人は手続きを取りまとめ、利害関係者に通知し、債権者の請求に対応して、会社の事務を完了させます。
ステージ2:公告と債権者への通知
RUPS の決議に記載された解散日から30日以内に、清算人は、官報 Berita Negara と、インドネシア語で全国に発行される日刊紙に公告を掲載します。バリ島の地方紙では認められません。公告が出たら、同じ30日の期間内に、公証人が SABH システム(Sistem Administrasi Badan Hukum)を通じて法務省(Ditjen AHU)に通知を提出し、RUPS の議事録と新聞掲載の証明書を添付します。審査の後、通知の受理を知らせるレター(surat penerimaan pemberitahuan)がシステムに届きます。会社には「dalam likuidasi」のステータスが付与されます。
債権者は、新聞と Berita Negara の2つの公告のうち、後のほうの日から60日以内に請求を申し出ることができます。
ステージ3:OSS での NIB の取り消し
OSS システムで、清算人が NIB の取り消し手続きを行います。その前に、会社の書類と税務上の義務の状況を確認し、公証人から surat penerimaan pemberitahuan を取得しておく必要があります。
NIB の取り消し手続きは、Permen Investasi/BKPM 5/2025 で定められています。
ステージ4:税務番号 NPWP の閉鎖
ここは最も難しい段階の一つです。NPWP の閉鎖申請を提出すると、税務署が調査を行い、追加で課税する場合があります。PMK 81/2024 により、決定は12か月以内に下されます。申請には、会社の解散を証明する書類を添付します。NPWP が閉鎖されるのは、会社に税金の未納がなく、税務義務の遵守状況の調査、租税犯罪の疑いに基づく調査、捜査、刑事訴追が行われておらず、税務署や裁判所で会社の申し立て(異議申立て、訴訟、不服申立て、罰金の減免や誤りの訂正の申請)が審理されていない場合に限られます。債務のみを理由に却下され、1か月以内にその債務を完済した場合は、新たに申請し直す必要はありません。そのほかの却下理由については、記事「インドネシアでの NPWP 閉鎖の却下」で解説しています。
ステージ5:清算の完了
株主総会で、清算人が債権者への弁済、口座の閉鎖、残余財産の分配について報告します。問題がなければ、RUPS が報告を承認し、清算人の責任を免除します(pelunasan dan pembebasan)。この決議は公証人が作成します。総会から遅くとも30日以内に、清算人は結果を新聞で公告し、公証人を通じて SABH システムで法務省に通知します。法務省は法人格の消滅を記録し、Berita Negara で公告します。
清算完了までに済ませること
会社に従業員がいる場合は、清算が完了するまでに、従業員への支払いを済ませ、社会保険に関する要件を満たす必要があります。支払額は、労働法 UU 13/2003(UU 6/2023 による改正後)と政令 PP 35/2021 に基づいて計算されます。従業員には、退職金、勤続に応じた手当、未消化の休暇に対する補償などの各種補償を受ける権利があります。その金額は、勤続年数、雇用契約の種類、会社を閉鎖する理由によって変わり、解雇日に有効な規則に従って計算されます。従業員には、遅くとも14営業日前までに、解雇を書面で予告する必要があります。労働者保護に関する新しい法律を議会は2026年10月に可決しましたが、まだ施行されていません。施行されると、支払いの扱いが変わる可能性があるため、従業員を解雇する前に最新の規則をご確認ください。
BPJS に対する義務は別途完了させる必要があります。保険料の未払いを清算し、従業員の登録を抹消し、会社の閉鎖申請を提出して、確認を受けます。BPJS Ketenagakerjaan では、従業員の登録抹消は SIPP システムでオンライン、または事務所の窓口で行い、会社そのものの登録抹消は、会社が登録されている事務所への書面申請で行います。通常は、会社の閉鎖通知書と裏付け書類が必要です。解散を証明する書類、AHU からのレター、従業員に関するデータなどです。BPJS Kesehatan では、従業員の登録抹消を法人用ポータル e-Dabu または事務所の窓口で行い、会社の登録を閉じる方法も同じ窓口で確認します。BPJS Ketenagakerjaan と BPJS Kesehatan の登録は別々に閉鎖する必要があります。そうしないと、保険料が引き続き発生します。
法人口座を閉鎖できるのは、会社の権限を持つ代表者だけです。清算の決定後は、株主が選任した清算人が、選任されていない場合は取締役会がその代表者になります。手続きと必要書類のリストは、利用している銀行でご確認ください。通常は、閉鎖申請書、代表者の身分証明書(外国人の場合はパスポートと KITAS または KITAP)、代表者の権限を証明する書類(株主の決議、清算人の選任証書、「清算中」の記載がある AHU からのレター)のほか、設立書類、NIB、NPWP、会社印、銀行カードが必要です。口座の閉鎖は、税金と BPJS の保険料が納付され、給与が支払われ、債権者への弁済が済み、残余財産が分配され、NPWP について税務署がすでに決定を下した、最後の段階で行うのが望ましいです。オンラインバンキングに、たとえばバーチャルオフィス向けなどの有効な自動支払いが残っていないことをご確認ください。閉鎖後は、銀行に書面での確認書を依頼し、清算に関するほかの書類と一緒に保管してください。
会社を放置するとどうなるか
会社が実質的に事業を行っていなくても、オーナーが Nonaktif の手続きも清算も行っていない場合、義務は残ります。
会社が稼働していた期間の未提出の申告書や未納の税金については、税務署が罰金と延滞税を課し、調査の結果、追加で課税することもあります。LKPM を提出しないと、NIB の取り消しや罰金などの行政措置を受けるおそれがあり、年次報告を提出しない場合は、会社の SABH へのアクセスが制限されることがあります。取締役や株主が責任を問われる場合もあります。税金の未納額が1億ルピア以上で、税務署が債務者の誠実さに疑いを持った場合、取締役、監査役、株主は、最長6か月間インドネシアからの出国を禁止され、その禁止がさらに最長6か月延長されることがあります。
すでに OSS へのアクセスが制限されている場合は、考えられる原因を「会社の OSS アカウントがブロックされる理由」で確認してください。
チェックリスト:PT を閉鎖する前にすること
シナリオを選ぶ:清算か、Nonaktif ステータスの申請か。
報告を確認する:税務申告書、納付、LKPM、PT の年次報告。
会社が付加価値税の課税事業者として登録されている場合は、PKP ステータスを取り消す。
外国人の創業者や取締役の KITAS をどうするか決める:切り替えるか、閉鎖するか。
清算に関する RUPS の決議を行い、清算人を選任する。
債権者向けの公告を出し、SABH を通じて法務省に通知する。
所定の手続きに従い、OSS で NIB を取り消す。
労務関係を整理する:従業員への支払いと BPJS に対する義務。
税務手続きの要件を満たしたうえで、NPWP を閉鎖する。
精算と手続きを完了する:銀行口座を閉鎖し、清算完了の確認書を受け取る。
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