バリ島のデベロッパーが返金しない:契約紛争か詐欺か

投資家が資金を取り戻したい、あるいは契約で約束されたものを得たいと考えるとき、最初の一歩は訴訟でも警察への届出でもなく、法的な分析です。書類と時系列に基づいて状況を法的に位置づけ、それぞれの選択肢の見通しを評価し、行動計画を示す報告書のことです。弊社のお客様の事例を通じて、その進め方をご紹介します。
お客様の事例
外国人投資家のグループが、バリ島で建設予定の複合施設のユニット(個別の住戸)を購入するため、デベロッパーと「投資契約」を締結しました。金額は数百万ドルに上ります。その大部分は暗号資産で支払われました。引き渡し期限は過ぎましたが工事は始まらず、敷地では約2年間、何の動きもありません。
デベロッパーはPBG(Persetujuan Bangunan Gedung、建築許可)を待っていると説明しています。すでに解約の合意書に署名した人にさえ、資金は返還されていません。支出の裏づけはなく、デベロッパーは会計の報告を提示することを拒んでいます。
核心の問い:契約上の紛争か、犯罪か
プロジェクトが建たず資金も返ってこないという事実だけでは、犯罪にはなりません。分かれ道は、債務不履行(wanprestasi)、詐欺(penipuan)、横領(penggelapan)の間にあります。よく誤解されますが、被害額の大きさが契約紛争を犯罪に変えるわけではありません。刑事として扱うには、欺く意図の証拠が必要です。
どの道を選ぶかによって必要な証拠は異なります。あらゆる可能性とリスクを評価し、戦略を立てるために、法的な分析が必要になります。
民事の道(wanprestasi)
民事の道が使えるのは、PBGの申請が行われ、土地の権利が整い、資金がプロジェクトに充てられていることを、デベロッパーが書類で裏づけられる場合です。根拠は民法典(KUHPerdata)第1243条(損害賠償)と第1238条(正式な催告により遅滞が確定する)です。出資金の返還、損害、違約金を請求できますが、一点補足があります。裁判所は、元本を大きく上回る違約金には慎重です。
刑事の道(penipuanとpenggelapan)
PBGの申請が行われておらず、土地の権利も技術的な準備もないまま、まもなく着工するという約束のもとで資金が集められていたのであれば、詐欺と横領の可能性が見えてきます。2026年1月2日から新しい刑法典(UU 1/2023)が施行されており、詐欺は第492条(旧378条)、横領は第486条(旧372条)です。この日より前の行為には、新法がより軽くない限り旧法が適用されます。
特有の難しさ:暗号資産による支払い
UU 7/2011(第21条)により、インドネシア国内での支払いはルピアで行われます。暗号資産は支払手段ではなく、OJKの監督下にあるデジタル金融資産です(UU 4/2023、PP 49/2024、POJK 27/2024)。返還を求める権利がなくなるわけではありませんが、立証は難しくなります。取引ごとに、日付、金額、送金時点の換算額、ウォレットのアドレス、ハッシュ、そしてその送金を契約に基づく支払いとして受領したというデベロッパーの確認が必要になります。
分析を踏まえた行動計画
証拠の整備と訴訟前の催告。弊社で書類と時系列を整理し、デベロッパーにsomasi(正式な催告書)を送ります。7〜14日以内にPBG登録の証拠を示すこと、工事が止まっている理由を説明すること、資金の使途に関する報告を提示すること、「債権者」について説明すること、返金の予定を示すことを求めます。
回答の評価。デベロッパーが実際の許認可手続きに関する書類を示せば、民事の案件です。交渉か、債務不履行(wanprestasi)に基づく訴訟になります。沈黙したり、資金の行方を説明できなかったりすれば、刑事の可能性が強まります。
結果に応じた行動。保全処分を伴う民事訴訟、刑事の届出、またはその組み合わせです。記録された事実に基づいて、お客様が選択します。
こうした書面は形式的なものではありません。投資家が誠実に対応してきたことを記録し、その後どの道を選ぶにせよ証拠になります。
同じような状況にある場合にすべきこと
法的な確認が終わるまで、追加の支払いを止めてください。
やり取りとプロジェクトの資料を日付とともに記録し、支払いの書類を集めてください。暗号資産については取引の一覧表を完全な形で用意してください。
確認を経ずに、解約の合意書や他人の債務を認める書類に署名しないでください。契約を結び直さないでください。期限がリセットされてしまいます。
他の被害者と連携してください。共通の時系列は立場を強めます。
訴訟や届出の前に、法的な分析を依頼してください。契約紛争について急いで刑事の届出をしても、通常は受理されず時間を失うだけです。
よくあるご質問
不履行それ自体は契約上の紛争(wanprestasi)です。刑事として扱えるのは、欺く意図の証拠がある場合に限られます。たとえば、土地の権利も許可の申請もないまま、約束だけで資金を集めていた場合です。
返還を求める権利は残りますが、立証はより難しくなります。取引の完全な一覧、すなわち日付、金額、送金時点の換算額、ウォレットのアドレス、ハッシュ、そして契約に基づく支払いとして受領されたことの確認が必要です。
PBG(Persetujuan Bangunan Gedung)は建築許可です。デベロッパーは工事の停滞について、その取得待ちだと説明することが少なくありません。法的な分析では、申請が実際に行われたのか、それとも口実として使われているのかを確認します。
催告(somasi)は遅滞の事実と投資家の誠実な対応を記録します。またデベロッパーの回答そのものが、民事と刑事のどちらが有望かを示してくれることが多いのです。戦略を選ぶ前の段階で、時間と費用の節約になります。
要点のまとめ
法的な分析は、「何かしなければ」という状態を、具体的な手順の積み重ねに変えます。どの道を選ぶかはお客様が決めますが、その判断は推測ではなく、事実と法令に基づいて行われます。
同じような状況に直面している方は、問題が切迫する前にぜひご連絡ください。状況の評価と行動計画のご提案をお手伝いします。













