法務ケース:インドネシアのフォワーダーが貨物の書類を留め置き、訴訟なしで貨物を取り戻した事例

運賃は支払い済みで、コンテナも仕向港に到着しているのに、貨物を引き取れない。インドネシアの取引先が船荷証券を発行せず、連絡にも応じない。港では1日ごとに保管料と滞留料が発生します。ここでは実際のケースを取り上げ、インドネシアでの紛争対応を、電話ではなく法務の専門家による正式な書面から始めたほうがよい理由を説明します。
何が起きたか
ご相談くださったのは、中東のフォワーダーでした。インドネシアのフォワーディング会社を通じて、ジャカルタから2件の貨物を出荷していました。運賃は前払いで、請求書1通だけでも約13,000米ドルです。2件の貨物は同じ日に仕向港へ到着しました。
インドネシア側のフォワーダーは船荷証券を発行したものの、自社で保管したままでした。原本はお客様に送られず、telex release(原本がなくても運送人が貨物を引き渡せるようにする電子的な許可)も手配されませんでした。電話やメールにも応答しなくなりました。その後、この会社は、お客様が見つけた国際フォワーダーネットワークから、取引の数週間前に除名されていたことが分かりました。
船荷証券がないと貨物が「凍結」される理由
Konosemen(船荷証券、bill of lading)は、インドネシア法ではKUHDの第506条(Commercial Code、商法典)で定められています。運送人が貨物を受け取ったことを確認し、指定された場所まで運んで指定された者に引き渡すことを約束する、日付入りの書類です。実務では、船荷証券は貨物の処分権を示す書類として機能し、それを持つ者が貨物を引き取ります。そのため、取引先が船荷証券を握っている間は、貨物が届いていても荷受人は受け取れません。
なぜsomasiから始めたのか
お客様は最初、「とにかく電話してほしい」とのご希望でした。私たちは別の方法を提案しました。
Somasiとは、期限内に債務を履行するよう求める正式な書面による請求です。KUHPerdata(Civil Code of Indonesia、インドネシア民法典)の第1238条によれば、債務者は、書面による催告またはこれに類する行為が送られた時点で履行遅滞にあるものとみなされます。第1243条では、債務者がその催告の後も債務を履行しない場合、損害賠償が原則として義務になります。
Somasiには、実務上3つの働きがあります。
立場を固定できます。 書面の中で、法務の専門家が事実関係、書類の根拠、期限付きの具体的な要求を整理して示します。
裁判での証拠になります。 電話は証拠になりません。書面があれば、訴訟の前に紛争を解決しようと試みたこと、そして債務者に正式に警告したことを示せます。
話し合いの空気が変わります。 法務の専門家が公式のレターヘッドで作成した書面が、宅配便、メール、メッセンジャーで届くと、相手には次の段階は裁判か警察だと伝わります。
通常は、7〜14日の間隔で2〜3通の書面を送ります。書面の通数は法律で定められておらず、定着した実務です。
経過
1日目。 お客様からご相談を受けました。公開情報でインドネシアの会社が国際物流事業者として登録されていることを確認し、請求書、支払いの証憑、船荷証券の番号、やり取りの記録といった書類を集めました。
2日目。 法務の専門家がsomasiの案と委任状を作成しました。お客様が文面を確認し、重要な修正を入れました。船荷証券の荷受人はお客様の会社だったため、書面はご本人ではなく会社名義で送ることになりました。
3日目。 Somasiを3つの経路で相手方に送りました。登記上の住所への宅配便、メール、WhatsAppです。
数日後 相手方の会社は小さいほうの貨物を引き渡し、法務の専門家宛ての書面で回答しました。請求は否認し、自社の義務は果たしたと主張しました。
書面を送ってから約2週間後。 お客様から、2件目の貨物も引き渡されたと連絡がありました。紛争は訴訟なしで終結しました。
私たちがあえてしなかったことと、その理由
私たちは、お客様のご希望があったものの、相手方への電話はしませんでした。somasiの手続きを進めている間は、立場を書面で固定しておく必要があります。すでに不誠実な対応を見せた会社との口頭での約束は、相手に時間を与えるだけです。
インドネシアのフォワーダーと取引する場合の注意点
支払う前に会社を確認してください。 AHU(法務省の法人登録簿)への登録、OSSシステムでの該当事業のライセンス、業界ネットワークでの状況が必要です。取引の数週間前にネットワークから除名されていた場合は、立ち止まるべきサインです。
支払いを書類の発行と結びつけてください。 「先に運賃を支払い、その後に船荷証券を発行する」という形なら、入金後に原本またはtelex releaseを発行する期限を、あらかじめ書面で定めておきます。
やり取りと支払い関係の書類はすべて保管してください。 船荷証券の番号、請求書、SWIFTの送金確認、約束が書かれたメッセージが、のちの書面の土台になります。
連絡が途絶えたら、数週間も待たないでください。 港での保管料と滞留料は毎日増え、後からそれも請求しなければならなくなります。
Somasiは法務の専門家を通じて、分かっているすべての経路で送ってください。 登記上の住所への宅配便、メール、メッセンジャーです。こうすれば、相手が「何も受け取っていない」と言い逃れしにくくなります。
先へ進む覚悟があるか、事前に決めておいてください。 2通目、3通目の書面、訴訟、警察への届け出などです。Somasiは、その先の手段をとる用意が相手に見えているときに、より効果を発揮します。
インドネシアの取引先があなたの貨物や資金を留め置いていませんか?
私たちにご連絡ください。書類とやり取りを確認し、公開情報でインドネシアの会社を調査したうえで、somasiを作成し、分かっているすべての経路で相手方に送付します。書面だけでは足りない場合は、次の一手をご案内します。













