「差押えの家」:オーナーの住宅ローンが原因で借主が立ち退きを求められる

始まりはごく普通でした。バリ島での長期賃貸、契約書、デポジット、そして1年分の前払い。8か月後、制服姿の人たちが突然訪ねてきます。銀行の担当者が、家のオーナーが住宅ローンを支払っていないと告げるのです。物件は差押えに回り、競売の準備が進んでいる。「部屋を明け渡してください」と彼らは言います。借主は自分の契約書と領収書を見せますが、銀行の担当者はうなずくだけで、同じことを繰り返すばかりでした。

法律はどう定めているのか?

こうした状況で借主がいちばん知りたいのは、銀行は本当に立ち退かせられるのか、そして今すぐ出ていくことになったら誰がお金を返してくれるのか、という点です。

インドネシアでは、土地や建物への抵当権が債権者に特別な権利を与えます。借り手が条件に違反した場合、銀行は直接取立ての原則に基づき、個別の裁判を経ずに公開競売で物件を売却できます。実務上これは、借主がいるという事実だけでは、売却と新しい所有者への引渡しを止められないことを意味します。

民法が賃貸借を守る範囲はわずかです。よく知られた第1576条の原則は「物の売却は、それ以前に結ばれた賃貸借を終了させない」というものです。この原則が主に働くのは、賃貸借契約が抵当権より前に結ばれていた場合です。抵当権の設定後に、あるいは銀行の同意なく賃貸借を結んだ場合、多くのケースでは銀行または競売の買受人が優先されます。

なぜ優先順位がそれほど重要なのでしょうか。国有財産・競売管理庁と裁判実務は、善意の競売買受人は物件を「きれいな」状態で、実際に所有できる形で受け取るべきだと強調します。つまり競売のあと、新しい所有者は家の明渡しを求める権利があり、借主の争いはもはや銀行とではなく、貸主との紛争になります。

一方で貸主には、平穏な使用を保ち、第三者による法的な妨げから借主を守るという基本的な義務があります。借主が自分の落ち度なく住まいを失った場合、それは貸主に金銭の返還と損害の賠償を求める根拠になります。

借主を待っているもの

銀行は立ち退かせられるのか。形式的には、立ち退きそのものを行うのは競売後の新しい所有者です(引渡しの段階で銀行が行うこともあります)。あなたの賃貸借契約が抵当権より「新しく」、銀行がそれを承認していなければ、住み続けるのはほぼ不可能です。反対に賃貸借が抵当権より前で、債権者がそれを知っていたのなら、主張できる材料は増えますが、最後は証拠と契約の中身次第です。

銀行はあなたの契約の当事者ではありません。その役目は債権を回収し、物件を買受人に引き渡すことです。金銭の請求は、債務者である所有者(貸主)に向けることになります。

お金はどう取り戻すのか。道はふたつ、「奇跡の道」と通常の道です。

「奇跡の道」は、貸主が自ら事情を理解し、話し合いのあとに契約に沿って差額を返してくれる場合です。通常の道は、請求書を作成し、契約上の義務違反について訴えを起こすことを意味します。うまくいっても6か月以上かかる、長く神経をすり減らす手続きです。未消化の賃料、デポジット、引っ越し費用などの返還を求めます。裁判所は使われなかった金額の返還を命じることはできますが、実際に回収できるかは債務者に資産があるかどうかにかかっています。取り立てる先がなければ、受け取れるものもありません。

この件はどう決着したのか

役所の手続きが続いているあいだに、残っていた賃貸期間が満了しました。そして新しい所有者が借主のもとを訪れたとき、新しい契約が結ばれ、お客様は引っ越す必要さえありませんでした。ほかの人たちが同じように幸運だったかどうかは、残念ながら分かりません。

こうした事態に巻き込まれないために、長期の賃貸契約に署名する前は、必ず証書を確認して物件に負担(抵当権、差押え、質権)がないか調べ、貸主の落ち度で生じたリスクについて貸主が明確に責任を負うことを契約に定めてください。デポジットや未消化の賃料の返還手続き、損害の賠償も含めてです。この点でお手伝いが必要でしたら、いつでもLegal Indonesiaにご相談ください。

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