インドネシアの採用・雇用ガイド

1. 人材を探す

自社で探す場合

  • 求人サイト(JobStreet、LinkedInなど)への掲載

  • SNS、新聞、自社サイトでの募集

  • 就職フェアや大学のプログラムの活用

エージェント経由の場合:人材紹介会社が、要件に合う有資格の人材の選定を支援します。手数料は職位によって異なり、年収の10%から30%程度の幅があります。

2. 候補者の評価と選考

  • 面接:構造化された面接を行い、職務上の能力と社風への適合を確認します。

  • テスト:必要に応じて、能力を測る専門的なテストを用います。

  • リファレンスの確認:以前の雇用主に連絡し、経験と評判を確認します。

3. 雇用契約

適した候補者を選んだら、雇用契約を締結する必要があります。種類は次のとおりです。

  • PKWT(Perjanjian Kerja Waktu Tertentu):期間の定めのある契約です。プロジェクト業務(月に21日以内かつ3か月以内)、季節的な職務、試用に用いることができます。有効期間は延長を含めて最長5年に限られます。試用期間を設けることはできません。

  • PKWTT(Perjanjian Kerja Waktu Tidak Tertentu):期間の定めのない雇用契約です。長期の雇用関係を前提とし、解雇には理由の提示が必要です。

- インドネシアでは試用期間を設けることができ、公式には最長3か月です。実務上は6か月に及ぶこともあります。期間は職務の難しさと必要な能力に応じて雇用主が定めます。試用期間は雇用契約に明確に定める必要があります。記載がない場合、従業員は契約の署名と同時に本採用されたものとみなされます。試用期間中も従業員は他の従業員と同じ権利を持ち、賃金を期限内に受け取る権利も含まれます。ただし試用期間中は、職務の要件を満たさない場合、雇用主は補償なしに契約を解除できます。また試用期間中はBPJSに加入させないことも可能です。

契約は書面で締結し、職務内容、賃金、労働時間、解雇の条件、社会保険と医療保険の控除の詳細を記載する必要があります。

4. 従業員の登録

雇用主はすべての従業員を社会保険制度であるBPJS Ketenagakerjaan(年金保険と労災保険を含みます)およびBPJS Kesehatan(医療保険)に登録する義務があります。登録は臨時・常勤を問わずすべての従業員に必須で、その従業員が正式に雇用されていることを示す形式的な証でもあります。

5. 外国人従業員の雇用

多くの書類の取得と枠の遵守を伴う複雑な手続きで、就ける職位も限られます。

  • 雇用契約:外国人従業員は雇用主との書面による雇用契約が必要です。契約期間は通常、就労ビザの有効期間に合わせられ、6〜12か月程度で、延長も可能です。

  • RPTKA:外国人の就労許可を得るための手続きの一部です。会社がその外国人材とその職位を必要とする合理的な理由があることの確認となります。

  • IMTA:就労許可で、雇用主がインドネシア労働省を通じて取得します。

  • WORKING KITAS:外国人従業員のための一時滞在許可で、インドネシア国内で就労する権利を与えます。

  • BPJS(医療保険と社会保険)にも加入する必要があります。

  • 現地従業員:外国人を雇用するにあたり、雇用主はインドネシア国民を自社で雇用する義務があります。

  • 現地従業員の育成:外国人材は、職業訓練の枠組みの中で自らの知識を現地の従業員に伝えることが求められます。

6. 労働時間と休暇

標準的な労働時間は週40時間です。 通常は月曜から金曜まで1日8時間です。

  • 時間外労働:週40時間を超える労働は時間外労働とされ、割増賃金が支払われます(通常、最初の2時間は1.5倍、それ以降は2倍)。雇用主は時間外労働の必要性を事前に従業員へ知らせる義務があります。

  • 休憩:4時間の労働の後、従業員には1時間以上の昼休憩が与えられます。

  • 休暇:すべての従業員は、丸1年の勤務の後、年間12労働日以上の有給休暇を取る権利があります。休暇を取る意思は、開始の7日前までに雇用主へ伝える必要があります。

その他の休暇:

  • 病気休暇:従業員は有給の病気休暇を取る権利があり、通常は年間12日です。

  • 産前産後休暇:女性は3か月の産休を取る権利があります(産前1.5か月、産後1.5か月)。

  • 育児のための休暇:出産後、女性は新生児の世話のために2か月の有給休暇を取る権利があります。

  • 家族の事情による休暇:重要な家庭の事情により休暇を取ることができますが、有給とは限らず、雇用主の方針によります。

  • またインドネシアでは国民の祝日に有給の休日が定められていますが、その日数は年によって変わり得ます。

7. 採用に関する書面の交付(該当する場合)

  • インドネシアでは従業員にSurat Keputusan Pengangkatan Karyawan(採用決定書)が交付されることがあり、その会社の従業員であることを証明します。これは日本でいう雇用の証明書や辞令に相当します。

8. 賃金と各種手当

  • 賃金の支払い:雇用主は、地域の当局が定める最低賃金を従業員に支払う義務があります。支払いは月ごと、または雇用契約に定めた方法で行います。

  • 13か月目の賃金:支払いが義務づけられており、通常はイドゥル・フィトリの前に支払われます。この支給はTHR(Tunjangan Hari Raya)と呼ばれ、勤続12か月を超える従業員については月給1か月分に相当します。

  • 地域手当:地域によっては、生活費を補うための追加の手当が適用されることがあります。

  • 外国人従業員も現地の従業員と同様に、13か月目の賃金(THR)や、休暇手当、地域手当などを受け取る権利があります。

  • 外国人にも共通の規則と手続きが適用されます。

9. 税金と申告

  • 所得税(PPh21):雇用主が毎月、従業員の賃金から源泉徴収します。税率は累進で、所得に応じて0%から34%の幅があります。

  • 年間183日を超えてインドネシアに居住する外国人従業員は税務居住者とみなされ、インドネシア人と同じ規則で所得税を納めます。

  • 税務上の非居住者である場合は、二重課税の防止に関する国際条約に基づき、所得に対して20%の税率で源泉徴収されます。

  • 会社は四半期報告であるLKPM に、登録した従業員の情報と、社会保障および労働安全の確保の状況を記載する必要があります。

10. 解雇・退職

  • 期間の定めのある契約(PKWT)に定めた期間の満了前に、いずれかの当事者が雇用関係を終了させる場合(一方的な解約)、雇用主は補償を支払う義務があり、その額は契約に基づいて従業員が勤務した期間をもとに計算されます。(2021年政令第35号 第17条)ただし、PKWTの期間満了前に契約を解約した従業員も、残りの契約期間分の賃金に相当する補償を会社に支払う義務がある点にご留意ください。

  • 雇用主から行う場合:解雇は労働法に適合していなければならず、雇用主はその理由(人員削減、規律違反など)を示す義務があります。試用期間中の解雇であれば遅くとも7労働日前まで、試用期間の不合格によらない解雇であれば遅くとも14労働日前までに通知します。

  • 従業員から行う場合:従業員は書面で退職を申し出る必要があります。提出は退職予定日の30日前までです。退職日まで勤務しますが、双方が合意すれば早く退職することもできます。

  • 解雇の通知は書面で行い、目的と理由、解雇に伴う補償、その他解雇によって生じる従業員の権利を記載する必要があります。(2021年政令第35号 第37条第3項の解説)

  • 補償:未消化の休暇分の支払い。加えて雇用主の側から解雇する場合には、退職金や長期勤続に対する支給(該当する場合)といった追加の補償が定められています。

  • 外国人は契約に従って解雇できます。ただし解雇は就労ビザと滞在資格に影響するため、雇用主は入国管理当局へ届け出る必要があります。解雇された外国人は、新しいKITASを取得するか別の根拠でビザを延長しない限り、インドネシアを出国しなければなりません。

  • 次の場合、雇用主による解雇の通知は不要です。 (労働法第151A条および2021年政令第35号 第52条第3項)

- 従業員が自らの意思で退職する場合

- PKWT(期間の定めのある契約)の条件に従って雇用関係が終了する場合

- 雇用契約、就業規則(PP)、労働協約(PKB)に定める定年に達した場合

- 従業員が死亡した場合

- 雇用契約、就業規則(PP)、労働協約(PKB)に定める、即時解雇に相当する重大な違反を従業員が行った場合

11. 補償の金額

- 退職金(Pesangon)は勤続年数によります。

  • 1年未満:月給1か月分

  • 1年以上2年未満:月給2か月分

  • 2年以上3年未満:月給3か月分

  • 3年以上4年未満:月給4か月分

  • 4年以上5年未満:月給5か月分

  • 5年以上6年未満:月給6か月分

  • 6年以上7年未満:月給7か月分

  • 7年以上8年未満:月給8か月分

  • 8年以上:月給9か月分

- 長期勤続に対する支給(Uang Penghargaan Masa Kerja):

  • 3年以上6年未満:月給2か月分

  • 6年以上9年未満:月給3か月分

  • 9年以上12年未満:月給4か月分

  • 12年以上15年未満:月給5か月分

  • 15年以上18年未満:月給6か月分

  • 18年以上21年未満:月給7か月分

  • 21年以上24年未満:月給8か月分

  • 24年以上:月給10か月分

- PKWTの満了または解約に伴う補償は従業員に支払われ、「勤務した月数」に「基本給」を掛け、「12」で割って計算します。

- 未行使の権利に対する補償(Uang Pengganti Hak):

  • まだ期限を迎えていない未消化の年次有給休暇。

  • 従業員とその家族が採用された場所へ戻るための費用。

  • 雇用契約(PK)、就業規則(PP)、労働協約(PKB)に定めるその他の権利。

解雇(PHK)の理由と補償の金額:

解雇(PHK)の理由と補償の金額については、こちらの資料(英語)

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