27万ドルのヴィラ建設契約を検証:何が危険だったのか

バリ島で4棟のヴィラを建設する契約書を確認してほしいというご依頼がありました。取引は賃借地における27万ドルの投資を伴うもので、請負業者から示された書類の名称は「Agreement Letter」でした。

一見すると通常の合意書です。しかし法的な分析で分かったのは、これは契約書ではなく、投資の全額を失いかねないリスクの集まりだということでした。この書類の何が問題なのでしょうか。

1. 形式の誤り:契約書ではなく「レター」

国際的な実務においてagreement letterとは意向を示す文書であって、拘束力のある契約書ではありません。27万ドルという取引金額を考えれば、これは受け入れられません。

2. 当事者の情報がない

契約書には当事者のパスポート情報、住所、連絡先が記載されていません。請負業者は会社の代表者として特定されておらず、外国人の個人としてはそもそもこうした取引を結び、代金を受け取る権利がありません。また次の記載もありません。

  • 建設のライセンスの有無

  • インドネシアでの就労の権利(就労ビザKITAS)

  • 契約に署名する権限

3. 支払いが個人の口座へ

支払い(27万ドル)はすべて請負業者個人の口座に送られます。これは次を意味します。

  • 入国管理、労働、税務の各法令に違反すること

  • その後の資金の流れを追えなくなること

  • 紛争になった場合の返還の保証が一切ないこと

4. 技術的な内容と付属書類がない

契約書には次のものが含まれていません。

  • 設計図

  • 見積書

  • 工程表

  • 完成イメージ

  • 資材と品質に関する要件

つまり請負業者は工事をどのようにでも行うことができ、発注者の側には異議を申し立てる法的な根拠がないということです。

5. 支払いが実際の検収と結び付いていない

代金は段階ごとに支払われますが、出来高の確認書はありません。その結果、

  • 成果を受け取らないまま支払うことになり得ます

  • 品質と工期を管理する仕組みがありません

7. 必須の許認可に関する定めがない

インドネシアでの建設には次のものが必要です。

  • PBG — 建築許可

  • SLF — 使用適合証明

契約書にはこれらの書類について一言も触れられておらず、建物の使用開始とその適法性が危うくなります。

8. 準拠法と紛争の解決方法が定められていない

次の記載がありません。

  • どの国で紛争を審理するのか

  • 調停をどの期間で行うのか

  • 依頼者の利益がどのように守られるのか

この「契約書」は契約ではなく、法的な保証のない危険な書類です。これに署名すれば、どの投資家にとっても最悪の結果を招きかねません。結論として弊社は、この書類に署名しないよう強くおすすめし、法律相談を行いました。その結果、お客様はご自身がどのような事態に陥り得たかを理解されました。

バリ島で大きな取引を予定している方は、必ず書類の法的なチェックを行ってください。誤りの代償はご自身の投資です。法律を知り、お客様の利益を守る専門家にご相談ください。

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